口腔機能低下症
口腔機能低下症とは?症状について
治療のしくみ
口腔機能低下症とは、咀嚼、嚥下、構音、唾液、感覚といったお口の中の機能が複合的に低下する疾患のことです。
お口の中の汚れ、唾液量が少なくなることによる口の渇き、食事のあとに食べ物が口内に残ってしまう、活舌が悪くなったり食事中に食べこぼしをしたりする、硬いものが食べにくい、食事のときにむせる、薬を飲みにくいといった症状があります。
口腔機能低下症の原因
口腔機能低下症の原因として多くの方が特に注意しなければならないのは、加齢による口腔機能の低下です。高齢になると、食べ物を咀嚼したり飲み込んだりする機能、唾液の分泌量や、熱さ冷たさを感じる感覚機能が徐々に低下していきます。
ほかにも、歯の喪失やお口に合わない義歯を使い続けること、糖尿病や脳卒中後遺症といった全身疾患、薬の副作用なども口腔機能を低下させる原因となります。
進行するとどうなる?治療の必要性
嚥下や咀嚼といったお口の機能が低下してしまうと、固形物や硬いものを噛んだり飲み下したりすることが難しくなります。これにより、ビタミン・ミネラル・タンパク質・食物繊維といった栄養素の摂取が減少し、反対に炭水化物や砂糖・塩などの調味料の摂取が増えることが知られています。
口腔機能低下が進行すると、栄養バランスが悪くなることで、生活習慣病リスクの増大や、体力・筋力の衰えにつながりやすくなります。
早めの検査で口腔機能の評価を行い、適切な治療、トレーニングを受けることが必要です。
口腔機能低下症の検査
これらの検査を行うことで、お口の中のどんな機能がどの程度低下しているのかを調べることができます。口腔機能低下症と診断された場合には、保険適用によって治療やリハビリが受けられます。
診断後は、患者様の状態にあわせて治療計画を立て、通院を継続していただきながら口腔機能の維持・回復を目指してリハビリと治療を行います。
咀嚼機能低下
グルコセンサー GS-IIN
咀嚼能力を数値で評価することができる検査です。グルコースが含まれたグミを噛むことで、分泌されたグルコース濃度を測定します。
低舌圧
JMS舌圧測定器 TPM-02
舌圧と呼ばれる舌の運動機能を測定する検査です。摂食・嚥下機能の評価のほか、口腔機能のリハビリにも利用します。
口腔乾燥
口腔水分計ムーカス
お口の中の水分量を測定することで、お口の中が乾燥する症状の評価を行う検査です。
咬合力低下
口腔機能モニター Oramo-bf
機器のセンサーを患者様の口の中に入れることで、咬合力(噛む力)の最大値を測定する検査です。咬合力の評価を行うことができます。
口腔衛生状態不良
舌苔(舌に付着する白い汚れ)の付着程度や、舌背上の微生物数を測定し、その量でお口の中の衛生状態を評価します。
- 舌背上の微生物
- 舌苔の付着程度
舌口唇運動機能低下
オーラルディアドコキネシス
口唇と舌の動きを評価する検査です。「パ」「タ」「カ」をそれぞれ10秒間にできるだけ早く繰り返し発音し、1秒あたりの回数を測定します。
嚥下機能低下
嚥下機能を評価するための検査で、患者様には、それぞれ質問に回答してもらうことでスコアを計算します。
- 嚥下スクリーニング検査(EAT-10)
- 自己式質問票(聖隷式嚥下質問紙)